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禁断の果実に口づけを
第4章 洋子の帰り道、迷い道



 「だから〜
ねぇ、伸介聞いてる?
全くさぁー誰なんだよ?!
洋子さんのタイヤにイタズラした奴は!」


 「まぁまぁ…
事故にならなかっただけ良かったよ」

 「事故ったら、伸介と飲んでなかったわねぇー」

 「そうそう、洋子と飲んでなかった」



 どれだけ飲んだのだろう‥‥?
私は目の前の伸介に絡んでいた。

 名前を呼び捨てで呼び合う程、緊張感もない‥‥
伸介は笑いながら、私の話に付き合う。

 「洋子はさぁ、不器用なんだよ!
どんなにツッパっても、本当はガラスのハートの女の子なんだよなー
素直になれなくて、寂しいんだよなー」

 「伸介は、よぉーく、私を分かってる!」

 「酒癖悪りぃ〜な洋子。
でも、元気になったみたいで何よりだな!
酒癖悪くても、さっきまでの洋子より百倍可愛いよ!」


 「何?それ!?
あぁぁぁー 
伸介、ムカつくぅー」

「俺はこっちの洋子の方が好きよ!」

「年上をからかうんじゃねぇよ〜」

 「たかが10くらいの差だろ?
変わらねぇーよ!」



 酔ってるだけだ。
からかわれてるだけだ。
間に受けたらダメ!

 何より、こいつは川端伊織の友達だし‥‥
いつの間にかこんな風に飲んでいて‥‥‥
それでいて楽しくて‥‥
 
 ダメだ。ダメだ。絶対、ダメダメダメーーダメ!


 「洋子、
何、ボケッとしてんだよ?
酔ったのか?
俺に?」

 「誰がじゃ!!」


 そう言って、悪たれついても‥‥‥
こんな風に誰かと楽しく食事するの‥‥
久しぶりだわ…

 嬉しくて、どんどん仮面を剥がされてゆく…

 ずっと、強い自分で居なきゃって虚勢を張るのも疲れていた。
潰れてしまいそうだった。
そんな自分を守る為に無理矢理つけた仮面を‥‥‥

 ーー剥がされてゆくーー
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