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禁断の果実に口づけを
第19章 サヨナラの訳

 柿沼から連絡を受けた健も、今日起こってしまった出来事を理解した。
何とか朋子を守る言葉を頭の中で考えた。

 『風間様と倉橋の事についても、奥様から問い正されまして…。
状況が分からない、わたしやその席に同席した秋山もこればかりはどうにも出来ませんでした』

 優美子が自分と朋子との不倫を暴露した事をオブラートに包みながら、機嫌を損ねない様に話す柿沼も動揺を隠せない。

 「申し訳ありません。全てわたしの不徳の致すところです。
所長さんや秋山さん、倉橋さんには多大なご迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。」

 健も謝罪する以外ない。
勿論、横領には朋子は関わってない事は強調して話す。

 「わたしは倉橋さんに勧められた保険に入ったまでです。
ですから、こんな大変な事になるなんて思いもしませんでしたし、全て自分の不注意が招いた事です。
彼女には何も関係ありません。
本当に申し訳ありませんでした」

 朋子の立場も出来るだけ守ってやりたいが、もはや手遅れなのだろうと柿沼との電話のやり取りで健も悟った。
優美子を怒らせたばかりに、こんな行動に出るなんて想定外の事だったから。

 電話を切った後も、事の重大さに頭を抱えてしまった。
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