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禁断の果実に口づけを
第19章 サヨナラの訳
朝から社長室に閉じこもる健を心配して、真雪が声を掛けた。
健から全ての事情を聞いた真雪は驚いたが……。
「こんな時、健はまず優美子さんに問い正す方が先じゃないかしら。
『どうしてそんな事をしたのか?』
本当の意味を健は知らない。
中途半端に愛人のとこに駆け付けても、傷を舐め合う様な馬鹿な事をしたら庇いようがないわ。
まだ、あなたの妻は優美子さん。
愛人さんには私の連絡先でもメールしといてあげなさいよ。
私がそっちを引き受けてあげるから」
「真雪……」
「言ったはずよ。
私が守りたいのは健。
落城の時まで付き合うわ」
「すまない…」
健は真雪に言われた通りにした。
自宅に帰り、優美子の部屋をノックした。
ドアを開ける優美子。
「早いお帰りね」
「話がある」
フゥと溜息の後に微笑する優美子。
まるでこうなる事を覚悟していたかのように……
「聞くわ。
ねぇ、成田まで送ってくださる?
一足先に輝やパパ達をホテルに行かせたの。
明日のフライトが早くてね。
話なら車の中で聞くわ」
「あぁ…分かった」
優美子は大きなスーツケースを引き摺り、部屋から出てきた。