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禁断の果実に口づけを
第19章 サヨナラの訳
✾✾✾

 「ショボい店なんて言ったらダメよ。
ここの焼き鳥美味いんだから。
冷めないうちに食べなさい」


 そう言って、朋子を急かすのは見かけはとてもインパクトのあるオカマの真雪。

 営業所を逃げる様に出てから、未来を保育園に急いで迎えにゆき、自宅に戻り、素早く荷物を纏めて実家に未来を預けに行った。
同じ団地に住む晴美が自宅に押しかけて来るのも恐れたからだ。
実家の母には『仕事が立て込んでいて、年末まで忙しい』と言訳をした。

 『年末まで仕事?』と母親は言ったが、母子家庭で日頃頑張っている朋子が切羽詰まった顔をしていたので、未来を預かってくれたのだ。

 母親にお礼を言い、実家を出ると電源を切りっぱなしにしていた携帯を恐る恐るONにした。
案の定、洋子や晴美、会社からの着信やメールがめいいっぱい入っていて気が重くなる。

 とにかく、今の自分が関わりたくない連絡は削除し無視した。
今一番連絡を取りたい健。
健からのメールを見つけると、安心したと同時に今日の事が既に耳にも入ったのだという事実にも落胆もした。
気ばかり焦る朋子。




ーー 先ずは妻とけじめをつけてくる。
話はそれからだ。
心配ならば、俺の親友に連絡取ってみてくれ。
とてもインパクトの強い奴だが、一番信頼できる人間だ。
朋子の事も頼んである。
悪いようにはしない。
ちゃんと、朋子を守るから ーー

 メールにはそう記されていた。
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