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禁断の果実に口づけを
第19章 サヨナラの訳
「起きてしまった事は仕方ないじゃない。
大切なのはその後をどう対処するかよ。
人生はさ、自分の思い通りになんていかないもんなの!」
真雪は目の前の朋子を元気づける様に言う。
朋子は、健と連絡を取りたい気持ちで目の前の工藤真雪を頼った。
健の携帯に何度か連絡はしてみたものの、留守電の音声が流れるばかり。
仕方なく真雪に連絡をしたら、『お子ちゃま預かって貰ってるなら、外に出てきなさいよ。
少しリラックスしながらお話しましょう』と言われ、指定されたこの店までやって来たのだ。
電話で話している限り、声の太い女性とばかり思っていた。
インパクトが強いという健のメールをようやく理解したが、躊躇してしまう。
「あっ、私の事怪しいと思っちゃうか?
思うよねー
でも、安心なさいよ」
そう言って、朋子に名刺を渡した。
「健さんの?」
「そうよ。あいつの会社の副社長であり、デザイナーでもあり、親友でもあるわ」
「そうだったんですか…」
「ええ。だから安心していいの。
私はあなたをどうこうしょうなんて思わないし、健の味方。
予め、大体の事は健から聞いて知ってるわ。
それに、女には微塵も興味ないから変な事もしないしね〜
健がけじめをつけるまでのお話相手だと思って頂戴」
「はぁ…」
「寒いし、冷えるから中に入るわよ。
あなたも酒でも飲まないとやってらんないでしょ!」
待ち合わせの店の前でこんなやり取りをして、今、真雪とテーブル席に向き合って話をしている自体、不思議な感じがして落ち着けない朋子だった。