この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実に口づけを
第19章 サヨナラの訳
朋子はグレープフルーツハイのグラスを飲み干した。
「あら、いい飲みっぷり」
「居酒屋でお酒飲むなんて久し振りなんです。
娘が居たら我慢するとこ我慢しなくちゃいけないし…。
今日は嫌な事沢山あったけど、こういう時間も久々に持てました」
「いいお母さんしてるのね。
ならば余計よ。娘さんをこれ以上裏切ったらダメよ。
狡い女のままじゃダメ。
健がけじめをつけるなら、朋子さんもよく考えて娘さんに恥じないけじめをつけなさいよ」
「はい」
「でも、今日はお母さんお休みなさい。
私があなたの保護者になってあげるから、好きなだけ飲んでいいわよ」
「…有難う御座います」
「さぁ、女子会の始まりよ。朋子さんのお腹の中にあるものは、スッキリ吐き出しちゃいなさいよ。
私で良かったら聞くわ。
あっ、その前にお代わり貰おう!
何にする?」
「じゃあ、同じものを」
「私はピーチサワーにするわね」
「健さん、今頃奥様とお話されてるんですよね…」
「不倫する限り仕方ないわね。
上手くやってるつもりでも、バレたら修羅場は免れないわよ。
優美子さんにも驚いたけど、まぁ、健には良い薬。
どんな結果になろうと、それに関しては同情は出来ないわね。
夫婦が決める事に口出しするのも野暮ってもん。
でも、朋子さんの事より優美子さんと先に決着つけろと言ったのは私。
狡くなって欲しくないの。健にも」
「真雪さんの言う通りですね」
「世間一般論でしょ。
不倫して常識まで疎かにしたら、人間失格よ」
「痛いな…それ言われちゃうと」
「痛い事したんだから当然でしょ!」
「ですよね…」
真雪の言葉が心に浸透し、自分自身を見つめ直す朋子だった。