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禁断の果実に口づけを
第20章 道標
女将は泣いている真雪を席に座らせ、朋子に了解を取り、席に同席して涙の訳を聞いた。
真雪の涙の訳は朋子の目の前も真っ暗にする程、衝撃的で哀しい知らせでもあった。
トラックがバランスを損ない横転し、その横を通り過ぎようとした健の車に直撃して巻き込まれた。
車は大破し、健は意識不明の重体で病院に運ばれる。
警察から事故の連絡を受けた優美子も取り乱していて、成田から健の運ばれた病院に向かう途中のタクシーの中から真雪に連絡してきたようだ。
「優美子さん、自分を責めていたわ。
成田まで送らせたせいで健が事故に巻き込まれたんだって…
私も行かなくちゃ……
朋子さんは私の家で待っていてくれる?
今日は帰るとこないんでしょ……」
「……はい……」
女将も真雪の話を聞きながら涙を流していた。
朋子は溢れそうな涙を堪えて、下唇をギュッと噛む。
女将がタクシーを呼んでくれて店の外まで送ってくれた。
真雪は病院へ。
朋子は真雪の家に向かい、詳しい状況を知らせて貰うのを待つしかなかった。
真雪の部屋を開けた瞬間、涙がドバッと溢れ出し、ドアが閉まるとその場で泣き崩れていた。