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禁断の果実に口づけを
第21章 カフェオレの追憶
支度をして会社に向かう真雪と一緒に部屋を出た。
タクシーが拾える通りまで歩きながら話した。
「また、連絡するわね」
「はい…」
「私は会社に行ってこれからを考えるわ。
ニュースにもなったし、社員達も動揺しているはずだから…」
「そうですね」
「ねぇ、朋子さん…
私の想像に過ぎないけど、健はあなたの一生懸命さや健気さに惚れたと思うの。
だから、そういう朋子さんの良い所、これからも大事にして欲しいな…。
ゆっくり休んで、クリーンになった気持ちで考えていくのよ。
じゃあね…」
そう言い残し、真雪は朋子の前を去る。
朋子もタクシーを拾い、自分の車の置いてあるパーキングまで乗り、何処に帰るか悩んだ。
実家に帰れば、親や未来の手前、哀しい顔も出来ないし、涙など流せない。
落ち着くまで自宅に帰る事を選択するしかなかった。
仕事は休みに入っても、会社の人間が訪ねてくる可能性は大いにある。
健の事故はテレビのニュースで流れる程の大きなものだった。
それを知りながら、取り調べの様に事の真相を確かめに来るかもしれない…。
自分の撒いた種だとしても、そんな事まで考えなきゃいけない事態に気が重くなる。
それでも、自分の帰る場所はそこしかなかった。