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禁断の果実に口づけを
第23章 本物のQUEEN
「輝に、風間の思いが形になったものを見せて、最期の言葉を話しました。
輝もちゃんと聞いてくれて、輝の思いを打ち明けてくれたんです。
輝はどうやら真雪さんに憧れていたみたいです」
「えっ、私に!?」
「はい。
輝が小さい頃、会社を訪ねると真雪さんは忙しいのに絵を描いて一緒に遊んでくれました。
最初のプレゼントにはクレヨンと画用紙を頂きました」
「ああ!!そうだったわよね!
子供の英才教育に絵はいいって聞いたから」
「それから絵画教室に通い出したんです。
飽きっぽい輝が嫌がらずに通い続けたんですよ。
お陰で学校に入ってからは、絵の才能はみんなに褒められる様になりました。
コンクールでも何度も入選出来る程、絵はあの子の特技になったんです。
きっかけは、真雪さんが描いた林檎が本物みたいで美味しそうだったから。
あんな絵が描ける人になりたかったって」
「私も小さな頃から絵だけは飽きずに描いたわ。
私も絵に支えられて、自分には着る事が出来なかった可愛い女の子の洋服に憧れて今の仕事を選んだのよ」
「絵を本格的に描きたい。
語学も勉強したい。
絵に携わる仕事に就きたい。
それが夢なんだそうです」
「なら、その夢を優美子さんが叶えてあげなさいよ!」
「はい。輝の才能ややりたい事の応援をしていきたいです!」
「良かったわね。優美子さん。
いろんな大事なものが見えてきて」
「ええ。なんだかね、体ごと洗濯機に入れられて、思い切り洗われた感じよ。
汚れはなかなか取れないけどね」
「そんな事ないわ!
きっと、今の優美子さんは、晴れた日の雲一つない青空の様な心で周りが見渡してるのよ。
そういう優美子さん、素敵よ!」
「真雪さん。褒め過ぎ。
でも、雨降って地固まるなのかな……」
前向きに生きる力を蓄え、逞しく生きる女こそ、輝かしい本物QUEEN。
そんな姿こそが美しい女の姿。
二人のQUEENは顔を見合わせ笑い合う。