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禁断の果実に口づけを
第24章 こゝろに凪を
伸介と年末に恋人の様なデートをした洋子。
そのお陰か、気持ちの良い新年を迎える事が出来た。
自分と伸介はこれ以上の進展などない事は十分分かっている。
ただ、今の自分を支えている大切な存在でもあった。
年末年始は実家で過ごした。
久し振りに両親に会い、気持ちばかりのお年玉を渡した。
姉の家族や実家の敷地内に新居を構えた弟の家族なども集まり、正月の賑わいも見せる。
姉や弟の子供達がはしゃぎ、お年玉の催促をするかの様に、『洋子おばさん』とまとわりつく。
甥や姪を可愛いと思う気持ちはあっても、独身で子供の居ない洋子にとって、欲しくても手に入らない現実を叩きつけられている様で寂しくもなった。
子供というのは現金なものだ。
ある程度の歳になるとお利口な仮面を被り、大人顔負けなおべっかだって使う。
落とし玉を貰えばお礼を言い、スゥーと離れて個々のやりたい事を始める。
姉の一番上の娘は高校二年生になるが、薄っすらと化粧をし、『洋子おばさんすみません。有難う御座います』と大人の様な挨拶をしながらも、お年玉はニャっとした笑みを見せながら受け取る。
早くも女の部分を見せられた様な気がした。
人の子の成長は早い。
見ているだけだから簡単に言えてしまうのだろう…。
勿論、子供は可愛いだけじゃないし、親の思い通りになんてならない事も見ていれば分かる。
「独身を謳歌してる洋子が羨ましいわ」と姉が言えば、「稼いだ金は全て自分のものなる洋子姉はいいよな!」と弟も言う。
『そんなあなた達の子供にお年玉を配っているのは私。
自分の子供が授かって貰うあてがあるわけでもないのに』といつもの私なら言い返しただろう。
でも、笑って許すわ。
人間はないものねだりをする生き物。
ないものほど魅力的に見えて欲しくなるんだから仕方ない。