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禁断の果実に口づけを
第24章 こゝろに凪を

 仕事始めは慌ただしい毎日の始まりでもあった。

 『おはよう御座います。
明けましておめでとう御座います。
今年も宜しくお願いします』などの挨拶を交わすと、話の話題は倉橋朋子の話題でもちきりだった。
ヒソヒソと陰で言う者に拍車を掛けて、興味本位で聞き入る者。
どこから漏れたのか、亡くなった風間健の愛人であった事や悲劇の年末の事故と照らし合わせた話をする者も居た。
スキャンダルを大袈裟にし、大きく輪をかける輩はどこの世界にも居る。
そのスキャンダルは自分と無関係なら、言いたい放題の憶測も飛び交う。
そんな中で、挨拶が終わると北原晴美がいち早く洋子に話し掛けた。
周りを気にしながら様子を伺い、小声で話す。

 「秋山代理、倉橋さんに会いました?」

 「えっ、あっ、はい。
少しお話を伺い、落ち着くまではお休みを取るそうです」

 「家には何度か行ってみたんですけど、留守だったみたいで…。
同じグループの仲間として心配してました。
今回の倉橋さんの事は私にも責任があります。

 実は私、風間様の奥様と知り合いなんです。
こんな事になるなんて、私……
倉橋さんの事を守ってあげたくても……風間さん、いえ、優美子さんの事を思うと……  
板挟みで切ないです」

 そう言って涙を浮かべた。

 「北原リーダーそれってどういう事ですか?」
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