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禁断の果実に口づけを
第24章 こゝろに凪を
「少しは落ち着きましたか?」
無難な言葉を選んだ。
「はい。お陰様で。
有難う御座います。
あの……秋山代理……」
「はい」
「処分が決まるまで謹慎させて下さい。
どの様な処分も受ける所存です」
決意の固まった朋子が本題に入る前にそう言った。
その声は何だかスッキリとした様にも聞こえた。
「そうですか。
その方がいいかもしれません。
まだ会社も始まらないし、倉橋さんの事はどうなるのかは上との相談になります。
出来る限り力になりたいと思ってます」
「有難う御座います。
でも、私も覚悟も出来ております。それくらいの事をしてしまった自覚もあります」
「倉橋さん……
きちんと決まったら、追って連絡致しますね」
「はい。宜しくお願いします」
電話口の遠くで『ママ〜』と呼ぶ声が聞こえた。
洋子は要件だけを話し、早めに電話を切った。
今の朋子に救いの手を差し伸べる可愛い存在との時間を邪魔してはいけないと思ったからだ。
子はかすがいか……
きっと、心が疲れてしまった朋子に新しいパワーを与えてくれる事だろう。
そうであって欲しいと願った。