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禁断の果実に口づけを
第25章 こゝろ次第
所長の柿沼が新年の挨拶を兼ねた朝礼を済ます。
倉橋朋子の事には敢えて触れない代わりに、会社の規定である個人情報保護法の取扱いや会社の就業規則に基づくプリントなどを事務員や洋子に指示してコピーさせ、社員全員に配る。
「大事なお客様の情報を憶測で物を言う事は謹んで下さい。
軽はずみに口にし、漏洩された場合は処分の対象になると言う事です。
今更お話する事ではありませんが、あなたたちは会社の看板を背負い、あなたたちの信用で仕事をしてます。
配られたプリントに反する行動をした場合は、厳しい処分を受ける事になりますので、十分注意して下さい」
『新年の挨拶にしては堅苦しい。
[これ以上、倉橋朋子に関しては触れるな!そんな面倒臭い連中への対策防止のプリントなんだ!]という、遠回しのお達しに過ぎない。
でも、この配慮は有難い。
これ以上、動揺を煽り仕事に集中できない環境も好ましくない。
勿論、この配慮は社員達へのものであり、私に関してはそんなに甘くない』
案の定、朝礼が終わると所長に例の応接室に呼ばれた。