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禁断の果実に口づけを
第25章 こゝろ次第
「その方と倉橋さんは今後関わる事はないでしょう。
倉橋さんも一歩を歩み出して下さい」
「はい」
涙を拭いながら、しっかりと返事をする朋子。
書類を書き終えると、洋子に川端伊織の事や今後の事を頼んだ。
「倉橋さんの顧客に関しては、平等な判断の元で割り振られるはずです。
川端さんに関しては、今後は力添えしてゆくつもりです。
風間様の保険の手続きは私が最後まで責任を持ってやりますから。
辛い時間でしたね。
もう、終わりますよ。
あなたが幸せに笑う時間が訪れます様、私も祈ってます」
「秋山代理、いろいろ有り難う御座いました。
それに数々の失礼……本当に済みませんでした」
「私も間違いだらけの人間です。
どう改めていけばいいのかを模索してます。
でも、嫌われて分かる事もあるんですよ。
辛い、悔しい、哀しいと思う感情があれば、そこから奮起出来るんじゃないかなって」
「素敵な考え方ですね。
私もそんな風に考えながら、一歩を踏み出します」
そう言って、最後に笑う倉橋朋子。
最後は、所長をはじめとして同僚達に『ご迷惑掛けて申し訳ありませんでした。今まで有難う御座いました』と、ちゃんと挨拶をして営業所を去って行った。