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禁断の果実に口づけを
第26章 恋こゝろ

 妄想オナニーの後は必ずシャワーを浴びる。
これで保っているなんて、恥ずかしくて到底言えない。

 
 浴室の鏡に性器を映し、ヘアーの手入れもした。
いつだってサボる事なく、伸介の言った事は守った。
指を入れて性器も洗う。
余り石鹸で洗い過ぎるとただれてしまうから、適度に清潔を保った。


 下着だって気を遣う様になった。
いつ抱かれてもガッカリさせない様に。

『あなたに会えなくても、女はサボってないのよ』

 毎日、眠る時間が来るまで、伸介の幻影が私を見守ってくれた。
私はあなたの言いつけを忠実に守って日々を送る。


 少しだけ勇気を出して、屋台ラーメンにも行ったけど、伸介がやって来る奇跡は起こらなかった。
相変わらずの美味しいラーメンを食べながらも、隣で毒舌を吐きながら食べる伸介が居ないのは寂しい。
ラーメン屋のオヤジがそんな私を元気つける様に煮卵を丼ぶりに乗せる。

 「サービス!」 

 そう言って、ニコッと笑うニクイオヤジ。
お礼を言うと、手を休めて話し相手になってくれた。

 「なぁ、姉さん。卵って凄いな。
生でも美味ければ、焼いても茹でても美味い。つなぎに使うし、料理に混ぜても、とじても美味い。
色んな味で楽しめる」


 「そうね」

 「一番美味くて馴染んだ味に執着するのかもな。
俺は食べられたら何でも満足しちまう。
欲がない代わりに一番美味しい食べ方も知ってる。
それって、恋愛に似てない?」

 「なるほどね!上手いね!おじさん!!」

 いろんな味があるよね。

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