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禁断の果実に口づけを
第28章 毒リンゴ
「川端さん、それはどういう意味なのかしら?」
「そのまんまです。
自分より上の立場の人間には逆らわず、体裁良く振る舞うけど、自分より下の人間にはその分のストレスをまんまぶつけてくる、タチの悪い上司だってずっと思ってました。
秋山代理の様に、素直に感情を出す人って珍しくもないですもんね。
可哀想な人だと思って、これでも我慢してきたんですよ」
「……川端さん」
「秋山代理らしく、目を剥き出しにして罵声を浴びせないんですか?
怒る事でしか自分を表現出来なかったんですものね?
そういう人って、自分はこれだけの力あるのよ?って権力を振りかざして傲慢さで訴えてくる。
ねぇ、こんなに私が頑張ってるのに、何で言う事聞けないの?
私って可哀想でしょ?
ねぇ、私を見てよ!慰めてよ!って周りに認めて欲しい甘え。
本当の姿は、駄々っ子のかまってちゃんなんですよねー
上手く行かないから、しかめ面になって機嫌損ねてエスカレートしてゆくヒステリー。
周りはそんな人間に呆れるんですよ。
それに気づけない愚かさ。
味方が欲しくて吠えたのに、どんどん嫌われて孤立してゆく。
一層、そのまんまで居たら良かったのに」
大人しくて健気な美しい白雪様は、隠し持っていた毒リンゴをちらつかせながら、本性を見せた瞬間だった。