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禁断の果実に口づけを
第29章 三日天下
ひとしきり泣いた後、ハンカチで涙を拭いながら文和に誓う。
「あなたが苦しい、辛いと声にしてくれたら、一緒に死のうと思った。
でも、そんな事を言ったり、考えるのは、あなたに失礼よね。
あなたは精一杯戦っているのに……
私が弱音吐いたらダメよね。
いっぱい間違いを犯したの。
やってはいけない事したの。
悪い事は出来ないものよね……
完全とか完璧なんて有り得ない。
悪事は誰かが見ていて罰せられるもんなんですね。
こうなるまで……
気づけなかったの。
馬鹿しちゃったの」
「ま‥た……いっ……しょ……に…や…りな……おせ…ばい……い」
「生きて下さい。
私の希望でいて下さい」
「は……る……み……は……お…れ……の…き……ぼ……う」
「有難う。
あなた。
その一言で十分です」
文和はニッコリ笑った。
晴美も笑った。
その二日後、文和は晴美に見守られながら静かに息を引き取った。