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禁断の果実に口づけを
第30章 ビターなあいつが恋しくて……


 伊織から離れたくて急いだ。
早く離れて一人になりたいと思った。

『何故……川端伊織が居たの?
やっぱり、最初からあの二人に仕組まれ、私は陰で笑われていたの?
多分、そうね。
私………そんなにいけない事……し………あっ!!キャー!!!』


 【ドタドタドタ………】と大きな音と共に、洋子は落下していった。
急ぐがあまり、階段を踏み外して一気に転げ落ちた。
下のアスファルトの地面に強く叩きつけられて意識を失う洋子。

 その大きな音で、只事ではない事に気づく伊織。
その音が聞こえた方に駆けつける。


 「あっ!! 秋山代理!!」

 階段の下に倒れて、頭から血を流す洋子。

 「キャー!! どうして!!」

 伊織は、恐る恐るアルミ階段を降りて洋子に近寄った。

 「秋山代理!秋山代理!しっかりしてください!大丈夫ですか!?……代理!!」

 声を掛けても応答がない。

 
 「どうして!!」




 遠くで救急車のサイレンの音が聞こえる。
伊織は洋子の近くで、呆然と立ち尽くしていた。

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