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禁断の果実に口づけを
第39章 愛
一息つき、自分の事を話し出す洋子。
「……離婚の一番の理由は、私が子供を授かれない体だからなんです。
不妊治療をしながら、授かる可能性に賭けました。
彼も子供を望んでましたし、私も子供が欲しかった。
奇跡を信じました。
でも、奇跡なんて起きず、やっぱり授かれませんでした。
結局、結婚して三年目に離婚しました。
彼の出した答えは、『子供を諦める事は出来ない。ごめん』でした。
ーー謝らなきゃいけなかったのは私です。
そんな体なのに結婚した私が一番悪い。
それでも、僅かな可能性に賭けてみたかった。
彼と結婚したかったんです。
幸せになりたかった。
自分のエゴを貫き、哀しい思いをさせ、三年という時間を奪った。
そんな事があってからは結婚を諦めて生きてきました。
子供を授かれない、欠陥品の女なんだと捻くれたんです。
もう、離婚して十年経ちます。
その間、恋もしてきましたが……」
✾✾✾
そう、恋をした。
伸介との日々が脳裏で蘇る。
その恋が貫けるくらいの勇気や覚悟があったならと、何度も考えた。
でも、何度考えても幸せな未来図は浮かばなかった。