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禁断の果実に口づけを
第39章 愛


 熱い抱擁後の展開にドキドキしながらも、ニコッと私の顔を見て、「じゃあ、遅くならないうちに送りますね」と笑い、手をまた繋いで前を向くあなた。
 


 えっ!
それで終わり?

 ねぇ、抱きしめ合ったら、次は定番のキスじゃない?

 キスは?

 キスしないの!?


 洋子の住むコーポの前まで来ると……

「着いちゃいましたね」

「はい。今日は有難う御座いました」

「もう少し一緒に居たかったけど……残念」


 そう思うなら……
あるでしょう!ほら、もう少し一緒に居る為の決め台詞……

 「はい……」

 「じゃあ、またね」

 「はい。有難う御座います……」


 手を離し、見つめ合って、「おやすみなさい」の挨拶を交わすと、背中を向けて歩いて帰るあなた。
 
 ある意味、本物の甘党紳士よね……

 その先まで想像しちゃったじゃない!!
物足りなくなったわ!!
焦らされて、濡れたまま放置された気分よ!!

 伸介とは違うタイプのS男なのかもね……?

 これを大事にされていると解釈すれば、私は幸せな女なんだよね?


 うん。 

 今夜は幸せな気持ちで眠れそう。







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