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禁断の果実に口づけを
第41章 洋子
伸介おめでとう。
やっぱり、あなたの隣は華のある女性が良く似合う。
あなたが幸せになる姿をどんな形でも見届けられた事、幸せに思うよ。
今、私も胸を張って言えるわ。
『幸せです』って。
✾✾✾
「今日は病院混んでるね。
これじゃあ、いつ呼ばれるか……」
「うん。
検診が終わったら、家でゆっくりしていきなさいよ。
私も仕事の方は休みを貰ってるし、卯月さんが朝からソワソワしていたわ。
会いたいのね。みーちゃんや結ちゃんと心ちゃんに」
「あぁ………もう、パパはすっかりジィジィだよね。
お母さんは若々しいのに……。
子供達も可愛がってくれて有難いです。
お母さんで本当に良かった……」
「何言ってるのよ。水臭い。
家族でしょ。
庭の畑の胡瓜やトマトを朝摘みしたの。
お昼は冷やし中華作るわ」
「あ!嬉しい!お母さんの糠漬けも食べたい!」
「うんうん」
✾✾✾
ねぇ、伸介
私も三年前に結婚したのよ。
私の夫はね、住んでいた家を建替えて迎えてくれたのよ。
建築士の夫の力作のマイホームなんだ。
夫の仕事部屋も兼ねて設計して、夫婦の希望を沢山取り入れて造った家よ。
片流れの青い屋根、シルバーグレーの外壁の外観。
対面式のシステムキッチンに広々としたリビング。
ダイニングセットのテーブルの上には、幸せな家族の象徴のオセロ盤が置いてある。
休日にはいつも二人でゲームを楽しむわ。
娘夫婦や孫がいつ来てもいいように寛げる部屋もあるんだよ。
結婚する事で家族が一気に増えたの。
さすがに、嫁入りの時はREDな夜の相棒は処分したわ。
でも、クマのピンちゃんとこけしと浴衣は捨てられなかったよ。
想い出は大事に仕舞って、今があるんだ。
私の希望を叶えてくれて、庭に小さな畑を作ったのよ。
素人畑だけど、ちゃんと少しずつだけど野菜が育ってくれている。
愛も沢山育ってる。
一人が寂しいと泣いていた日々にサヨナラしたの。
これからの残りの人生は、家族を優しく灯す、蛍でありたい。
そんな場所に導いてくれたあなたの幸せを誰よりも願う。
有難う 伸介
Good Luck!
END