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禁断の果実に口づけを
第7章 理性と欲望の狭間
言われていることは、かなり洋子には屈辱的な事だった。
悔しい!
悔しくて堪らないのに、伸介に見捨てられてしまう方が怖い……
恋愛感情に似た感情なのか?
困っている時に助けてくれて、一瞬でも優しい時間を与えてくれた伸介を求めてしまっている。
勢いでセックスをしたから、女の部分がそうさせているのか?
ーーそれでも、求めてしまう。
このドス黒い感情が、この男と肌を重ねる事で、頭から消えてゆき、忘れてしまっていた気持ちが僅かばかり蘇ってきた。
棘のある自分が、その棘を人に向けてしまい、刺す事によりストレスを解消してきた。
そうする事で、一瞬はスカッとしたが、向けた相手からは、その怨みの念というものを刺され、自分自身をどんどん小さい人間にしていったのだから。
それに気づきながらも、改める事も出来ず、どんどん自分を狭くて暗い孤独な部屋へと追い込んでしまった。
本当は寂しくて仕方なくて、誰かに甘えたり、優しくして貰いたかった。
笑いあったり、楽しい会話をして、時間が過ぎるのがあっという間だったなんて事も忘れてしまっていた。
一人になるのが怖い!
こんな気持ちも久し振りだった。