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禁断の果実に口づけを
第2章 秋山洋子の噂
朋子は、あんまりにも落ち込んでいる伊織をランチに誘い外に連れ出す。
「伊織ちゃん!!
何でも好きなもの食べてね!」
洒落た和食の店で、個室の座敷席を取る。
ランチには少し贅沢な気もするが、伊織が辞めるなんて言い出したら、困るのは朋子。
朋子は、今ノリに乗っている成績を残し、将来は支部長クラスまでの出世もしたいという野望があった。
そのポストに座る為には、新人を育てて成績も残すノルマもある。
元々、伊織はデパートの化粧品売り場で美容部員として働いていた。
朋子はその化粧品を愛用していて、そこで伊織と知り合った。
大人しく可愛らしい伊織。
無理に化粧品を勧めたりする事が出来ない性格だった。
そんな伊織に好印象を抱き、仲良くなりたくてついつい買ってしまう事もあった。
伊織はそうさせる魅力もあったのだ。
親しくなって、伊織にマッサージなどをして貰う様になり、
「一緒に仕事してみない?」と切り出した。
伊織は、最初は断っていたが土日や祭日なども休めないデパート勤務。
彼氏が出来たばかりの伊織は、彼氏と同じ土日の休日を望んでいた。
保険の営業への不安はあったが、朋子の熱心な誘いに断れなくなっていった。
朋子も、この一年間は伊織を口説く為に何かと理由をつけて化粧品売り場に足を運んだ。
やっとの思いで伊織がデパートを辞め、一緒に働く決意をしてくれたのだから、秋山洋子に邪魔もされたくなかった。