この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実に口づけを
第2章 秋山洋子の噂
遠慮がちな伊織。
朋子はお寿司の握りと天ぷらにミニサラダ、ちょっとしたデザートのついたランチセットを取った。
「一生懸命な伊織ちゃんに、私からの細やかなお返しよ!
だから、遠慮なんてしなーい!」
「……すみません‥
倉橋さんに迷惑掛けてしまって‥‥」
「気にしないでよ、伊織ちゃん!
秋山代理もね‥……
性格に難のある人だから、前の支店でも相当嫌われて、うちの支店に異動してきたって聞いてるわ。
確か、伊織ちゃんが研修中にうちに来たんだよね‥‥
最初は大人しかったのに、徐々に本領発揮したって感じなのよ!
もう、うちの支店でも既に嫌われてるけどね!
所長に直訴した人も居るから、またそのうち飛ばされるかもよ?
私が出来るだけ伊織ちゃんは守るから辞めないでね!」
✾✾✾
辞めないでよ…
伊織ちゃん……
あんな底意地悪い女の為に……
私の評判も落ちちゃうの!
あなたが目の敵にされても助けられない先輩って……
ここは女の戦いの場なのよ!
あなたみたいな新人が苛められる場所でもあり、私みたいな優秀な人間は、妬みから引きずり降ろそうとする奴らばかりなのよ。
弱い人間は堪えられずに辞めるわ。
だからいつまで経っても人が育たない。
その連鎖を止める人間もなかなか居ない。
所長も秋山代理に対しては、見て見ぬ振り。
パワハラ問題に巻き込まれるのを恐れてね。
『本当に、どいつもこいつも!!
役立たず!!』
朋子は裏の顔など微塵も出さない。
自分の為に動く駒は、大事にしとけば損はない。
『私がのし上がる、大事な駒にはね…』
優しい先輩の仮面を被る。