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鏡の中から…
第12章 愛しき日々
「悔いのない日々を…送れ」
飛鳥井康太は夏海に…
残りの時間を悔いなく送れ…
と送った
夏海は、その言葉を受け
「はい!」と微笑んだ
「では今日はこれで失礼します」
夏海と雅龍は深々と頭を下げ、礼を言い、帰って行った
夏海は雅龍に支えられ…明らかに弱っていた
その命の期限が…迫っていた
頬から…
熱い雫が…止めどなく流れ
止まらなかった
残り少ない時間しか…夏海には用意されていない
なのに夏海は幸せそうに…笑う
康太の胸は締め付けられ…
やるせなさが募った
「時は…残酷だな…」
夏海は…19才
輝かしい未来が…続いていておかしくない…年だった
それら総てと引き換えにして…
我が子を産み落とし…
命の限りまで…精一杯生きて輝く
「……二人は…絶対に離れない
僕と君のように…来世へ続く…」
それだけが…救いだった
「…二人の子供は既に軌道に乗っている
違えられねぇのは…解ってるのにな…」
何故…
こんなに苦しい
何故…
こんなに悲しい…
二人を想えば…泣けてくる
康太は…恋人の胸に顔を埋め…
二人を想い…涙した