この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
鏡の中から…
第14章 またね
雅龍は夏海の頬を、両手で挟み
「頼むから…我と共に尽きてくれ」
と、哀願した
「当たり前じゃない!」
夏海は元気に笑い飛ばした
「雅龍!私を護りなさいよ!
何があっても離さないで掴んでおくのよ!」
夏海の檄が飛ぶ
夏海らしさに…雅龍の瞳から…
熱い雫が…零れて…流れた
「離さない…この命が尽きても…
絶対に…離しはしない…」
その言葉を受けて
夏海は華やかに笑った
「雅龍、私は悔いなんか遺してない!
私は、私の信じた道を逝く」
その瞳は揺らぎない
強い光を放ち
前を向いて進む
「夏海…我はお前と出逢えて…」
本当に良かった…と言おうとした
その言葉の先を遮り
夏海は立ち上がった
「雅龍、ボケボケしてる時間はないのよ!」
甘い時間の終わりを告げる
雅龍は降参して…
夏海を抱えて浴室に向かった