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鏡の中から…
第14章 またね
礼二は…嬉しそうに…
そんな子供たちを見詰めていた
「父さん、私、今日結婚式を挙げるから!」
夏海は父にそう言った
礼二は信じられず…夏海を見た
「だから、写真を沢山遺してね
バージンロードを一緒に歩いてね」
夏海は父にそう贈った
父は…娘の想いが嬉しくて泣けた
残りの時間は…
もうないだろう
昨日まで臥せっていた
なのに…元気な姿で帰ってきた
この姿が…
長く続かないのは…
知っていた
だけど…親だから…
願ってしまう
夢見てしまう
願わくば…
夏海の時間を…もっとください…と。
若くして逝く
我が子を…
引き留める術はない
父は…揺れる夏海の姿を
何時までも…瞳に焼き付けていた