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偽りの身の上〜身代わりの姫君〜
第5章 おうさま
私は意識してその熱を臀部で擦るように身を捩ってジバル様を見上げた。

「っ」
「ジバル様……」


息をのむ様子の彼の胸にそっと手をあててみる。早鐘を打つそこに顔を寄せると、戸惑いながら彼が私の肩に手を添えた。


「……いいのか?」


今までよりぐっと低く、情欲のこもった声に私はそれだけでゾクゾクしてしまって、彼の服をぎゅっと掴むことでそれに答えた。

肩に触れていた手が滑って首の後ろを撫で、顎にまわって私の顔を上に向けさせる。

「……」


お互いの息が触れ合う、あと僅かな距離で躊躇するようにピタリと止まる。それがもどかしくて、私は自らその口唇に触れた。


「ん、……、」


一度触れれば、タガが外れたようにその唇は何度でも触れ合う。

前みたいに、触れたか触れないか分からないくらいの一瞬じゃなくて、柔らかさを確かめるように角度を変え、触れては音を立てて離れる。次第にその口付けは深くなっていき、熱い舌がそっと私の舌先を掠めた。

「ふ、あ……」

たったそれだけでジンと甘い痺れが腰に走ってしまう。

微かに震える手を握り込まれ、顎を掴んでいたもう一方の手はいつの間にか私の首や耳の周りを撫で、甘い仄かな刺激を生み出している。

「ふ、……ん、」


舌が絡まる。ぬるぬるとした舌が時に柔く、時に硬さを持って、私の舌や口内を味わい尽くす。触感を楽しみ、動きまわり、私は翻弄される。

気持ち良くて体の力が抜け、ほとんど寄りかかった姿勢でも、彼の手は安心させるように私の手を握り続けた。
ゾクゾクする痺れを生む片手との差に、まるで片手ずつが理性と欲望で分かれているみたいだなんてぼんやり思いながら、舌をちゅるちゅると吸われる。


「ふあ……、は、ジ……、バル、様」

「ん、ミア、……ミア」

堪らないとばかりに口唇から頬にも顎にも鼻先にも唇を落とされる。猫可愛がりされるくすぐったさに首を竦めると、今度は耳朶を食まれて下腹部がキュンとしてしまう。

「ふぁっ」
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