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偽りの身の上〜身代わりの姫君〜
第6章 あいするひと
月明かりが反射して、綺麗な緑色をつくる。
彼の大きな両手が、涙でぐずぐずになった私の頬を包んで、それを拭った。
「君の、今までの生き方にも決断にも、オレは何も言わない。何も思わない。けれど、やはり君が君でいてくれてよかった」
「ふ、」
私は耐え切れなくてジバル様の首にしがみつくように腕を絡ませた。
背中を優しい手が撫でる。
胸いっぱいに花びらが詰ったように苦しくて、そのまま私が震える唇をあわせると彼もそれに答えた。
「ふ、……うん」
慰めるように、ちゅっちゅっと優しく音を立てて角度を変え、それは時折私の流した涙のあとを吸い、目尻を吸う。ジバル様が触れるたび、陽だまりにいるような香りに包まれて、耐えられなくなる。
もつれ合うようにしてホールの床に崩れると、お互いの服を脱がせ始めた。
マントを下敷きにして煌びやかなドレスを脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿のまま重なり、お互いの体の感触に溶け合うように抱き合う。
もう足の付け根には、彼の熱い滾りが先端を光らせ、擦り付けるようにして絡みつき、私もまた花弁がジンジンとするのを止められない。
ジバル様は胸元にキスの雨を降らせてからふと、私の頬を撫でた。
「……美しい姿を脱がせるのはどうにもな」
「駄目ですか?」
「いや、悪いことをしている気分だ」
目を細めて、耳元をぺロリと舐めた。
「ふあ……、それって……」
「興奮するな」
「も、もうっ、ふ……ンッ」
くくっと喉の奥で笑った。そのまままた耳を食んだり吸ったりするから、私は喘ぎを抑えられない。
すると彼は急に体を起こし、窓の外を見てから人差し指を口元にあてて笑った。
「声を上げると、誰かに聞こえるかもしれないぞ」
「や、ッ」