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偽りの身の上〜身代わりの姫君〜
第7章 エピローグ
国民に全てを話したあと、ハイネは王様に戻りジバル様は騎士に戻った。私はそのままルバルドに帰るものと思っていたけれど、別れの挨拶をハイネにしたら首を傾げられた。
――「お前って、こいつと一緒になるからここにいるんじゃないの。って、本人から聞いたけど」
どうも祭典の朝に二人でそんなやりとりをしていたらしい。それで私は晴れて正式なバーチェスのメイドになった。もちろん期間限定ではない。
ユーリと兄さんは骨を数本折っただけですんでいたらしく、治療の後は揃ってルバルドに引き渡された。
別れ際に私は兄さんにこれまでのことを全て話した。最初こそ王子に洗脳されていると思い込んでいたようだけれど、いかに二人を大切に思っているか、今までの自分が無だったかと伝えると最後には不満げな顔をしていたが、納得した様子だった。
すぐには受け入れられないだろう。けれど、これからゆっくりと溝を埋められるといい。週に一度は手紙が届き、今度はちゃんと返事を返している。
最初こそルバルドの牢屋に入れられたことについて不平不満を並べていたけれど、最近はリーダー格の囚人と親しくなったようで脱獄を計画しているらしい。
(看守の検閲とかないのかしら)
ほんのり兄の行く先が不安だ。
「――……」
遠くの方でラッパの音が聞こえて、ジバル様の腕の中でうとうとしていた私ははっとする。
彼も同じだったようで体を起こした。
「えっ! もうそんな時間!?」
「うたた寝していた。今何時だ」
もう暗くない、早朝の日差しをいっぱいに取り込んだジバル様の部屋の中。二人で急いで服をかき集めて身支度をしていると、コンコンとドアがノックされた。
「うう……はいはいー」
エプロンを後ろ手に結びながら開けるとそこには、