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偽りの身の上〜身代わりの姫君〜
第2章 連れられて身代わり

「姫様、おはようございます」
おずおずと寝室に顔を覗かせる。両手には簡単な朝食の入った膳を手にしている。
「うん、おはよう」
私はこんな声だっただろうかと思うぐらい、掠れてカサカサとしていた。毎夜の嬌声と、それ以外引きこもって誰とも話していなかった結果なんだろう。
「姫様がお食事をとられていないと聞きました」
「ん、ごめんなさい。……あまり、気分にならなくて」
一日三食必ず運んでくるメイドに聞いたんだろう。初夜が明けた朝から、ほとんど何も口にしていなかった。心がまるで枯れ果てたように、何も欲しなかったのだ。
ハイネは失礼します、と断りをいれてから枕元のチェストにそれを置くと、私のそばに腰を下ろした。
「食べないと、体がもちませんよ」
困ったように笑うハイネの小柄な体を包むフリルのついたシャツとシックなリボン。足首が少し見える丈の仄かにストライプの入ったパンツが少年らしさを際立たせる。けれどどこか中性的だ。
私と大差ないか、もしくはもっと細いかもしれない腰回りを見ると、ふとハイネにも、あの王様のように凶悪な怒張と同じものがついているのかと想像してしまう。
柔らかだけど少年らしい骨ばった体で、湧き上がる熱に翻弄されながら愛らしい目を潤めて、柔らかな金糸の髪を汗にまみれさせながら、その折れそうな腰を振って粘液滴る欲望を叩きつけるのだろうか。
「姫様?」
「っ……え?」
ハイネの声にはっと我に返る。
私は、無意識に彼のあられもない姿を想像していた。それによってじわりと下腹部の花芯が疼くのを感じて、一気に顔が熱くなる。
一体、何を考えているんだろう。こんなにも無垢な少年を捕まえて。
後ろめたさから顔を見ることができなくて、なんて答えたものかとしどろもどろになっていると、顔の前にヨーグルトの乗ったスプーンが差しだされた。とろみのある独特の酸いかおりが鼻を突く。
「え?」
「はい、姫様」
あーん、と口を開けてハイネは笑った。
いやいや、けれどこれは、兄さんにも風邪をひいた時にしかされたことがないし。これは、恥ずかしい。

