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偽りの身の上〜身代わりの姫君〜
第3章 うそつき
そのことと関係あるんだろうか。
けれど、王様が幼い頃ならハイネは今何歳なのだろう。顔をほとんど隠している王様の年齢も謎だが、二十歳の兄さんよりも幾らか年の近い人たちはもう呪われた王様のおとぎ話を知っている。口伝ならなおさら、もっと前からの話ということになるのだが、少なくともハイネは二十歳には見えない。というか、それならハイネは私より年上ということになるのだけれど、そんな風にも見えない。やはり脅威の童顔説が濃厚なのだろうか。
私の疑問をよそに、王様もまた何かを考えているようで押し黙っていた。
「……ぁ」
手持ち無沙汰でまた景色を眺めていると、近くに見慣れた花を見つけた。名案が浮かんで、それを数本手に取り、編み込みはじめた。
「――でーきた!」
「っ!?」
どれくらい時間が経ったのか。
あれ以来一言も発さない王様に振り返って、今作ったものを頭に乗せる。
「っな、なんだ?」
彼は驚いてそれに手をやると、はらはらと数枚の白い花弁が舞い落ちた。
「ふふ、花冠です。私、作るの得意なんですよ」
「はな……?」
ぽかんとした様子の王様は、手で恐る恐る触れて、それを確認した。
「これは……オレより、お前に似合うだろう」
「いいえ、王様に似合います。王様の目は綺麗な緑でしょう? 白いお花と緑があわさってとっても素敵です」
その目が戸惑うように揺れた。
「ねえ、王様。全部を見せてくださいとは言いません。でも、そんなに隠さなくてもいいんですよ。私は……」
あなたの姫なのだから。それだけは、ぎゅっと胸が痛くて言えなかった。
王様は、言葉に詰まって俯いてしまった私の腕を急に掴んだ。その目は鋭い光を宿している。
「おい、――お前は、誰だ?」
心臓が強く、ドクリとなった。