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偽りの身の上〜身代わりの姫君〜
第4章 孤独な牢獄
幕間
苦しい、苦しい、クルシイ……
心が引き裂かれるような痛みに、もう何度も苛まれている。
恐怖に震える顔はもうたくさんだ。
命乞いも、泣き喚くのも、そんなもの見せないでくれ。
自分の存在をこんなにも憎んでいるのに尚、彼女の瞳の行方を求めてしまう。
その無防備さはまるで子羊。生贄に捧げられた喰い散らかされ、あとに残るのは僅かな骨だけ。
いっそ本当に食べれてしまえれば、心まで化け物になってしまえれば、こんなにも苦しまずにすんだだろうに。
微かな希望を僅かにでも求めてはいけないのか。
何度となく繰り返された裏切りに、本当はもううんざりしているんだ。
人間なんか嫌いだ。大嫌いだ。それ以上に、自分の醜い姿が一番嫌いだ。
ああ、朝がくる。
――あの時、殺してくれればよかったのに。
***