この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
偽りの身の上〜身代わりの姫君〜
第4章 孤独な牢獄


しかし最後の方はまるで、すねた子供みたいだった。ころころと表情を変える彼に、私は少し戸惑う。
もしかしたらハイネもまた、王様の幸せを願っているのかもしれない。それが思い通りにならないのが嫌なのだろう。


「私は、恋した経験がないから分からないけれど……、好きになるのはそういうことじゃないと思うわ」


無意識にぎゅっと胸元を握る。
胸が痛くなったり、ドキドキしたり、どうでもいいことで喜んだり落ち込んだりして、その感覚なら少しは分かる気がする。


「どういうこと?」

「多分ね、ええっと……、人を好きになるのはお金持ちとか、王様とか、そんなの関係なくて、優しいとか、いつも助けてくれるとか、たまに目が合うと笑ってくれるとか、そういうことの積み重ねなんじゃないかなって思うの」


知らず王様のことを思い浮かべながら語っていて、それに気づくとカアッと耳が熱くなるのを感じる。しかしハイネはぴんとこない様子で、怪訝な顔で首を傾げるだけだった。


「じゃあ、君は僕が優しくしたら、僕のことを好きになるの?」


さっきの大人びた表情はどこへやら、急にそんなことを言う。


「えっ……ハイネはずっと優しいじゃない」

「僕が優しい?」

「ええ。ここに来てから、ハイネはずっと私に優しかったわ」


ハイネはなぜかとても理解できない顔をしてから、口を開きかけた。その時、城の外でドンッドンッという爆発音がして飛び上がる。


「きゃっ! な、なに!?」

「ああ……、花火だよ」

「花火……」


窓の外を見ると、晴天の空に小さな煙か雲かというものが漂っている。


「初めて聞いたわ」
「あはは。花火は見るものだからね」
/192ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ