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偽りの身の上〜身代わりの姫君〜
第4章 孤独な牢獄
「じゃあ何でこんな日中に?」
「祭典だよ、バーチェスで毎年やってるんだ。国主催だから結構大きくてね。まだ少し先だけど、白城を開放して、外から有名な劇団とか吟遊詩人とか招いて国民皆で楽しむんだよ。今のは、今年もその日が迫ってきたよっていうお知らせだね」
「へえ……すごいのね」
ルバルドには祭典なんてなかったし、劇団なんか見たこともない。吟遊詩人はごくたまに流れ着くが、それでも私が見たことあるのは一回くらいだ。改めて国の大きさの違いに圧倒される。
「国主催なら、ハイネや王様も何かやるの?」
「僕は……。王様が人前に出たがらないからね」
「そうなの……ハイネは可愛いから、きっと人前に出たら大騒ぎになるわね」
女の子と間違われて男たちに声をかけられるかもしれない。想像すると犯罪臭しかしなかったけれどふふ、っとつい笑ってしまった。
「……僕はもう行くよ。ランチ持ってくるまでベッドから出ちゃ駄目だよ」
「ふふ、はぁい。ハイネお兄ちゃん」
冗談で笑うと、ハイネはまた口角だけあげる笑顔を作って頭をくしゃと撫で出て行った。その仕草は本当に兄さんに似ているななんてぼんやり思いながら、気づけばうとうとして、ほどなくして眠りに落ちた。
足は一日とかからずに回復した。ハイネの言っていた寝ている間の治癒力とやらは案外本当なのかもしれない。
ランチあと少しの惰眠を取ってからはすこぶる調子も良かったので、今からでも少し掃除を進めておこうかと思い部屋を出たのだけれど……、
「しまった……」
自室のある階は完璧に把握したと思っていたが、一階上るだけでこんなに複雑な部屋割りになっているとは思わなかった。
「うう……同じつくりなら余裕って思ってたのに……今からでも掃除できる小さい部屋を探そう」
ちょうど今日からは上の階をやろうと思っていたのだ。本当は順序よく端からやっていくのが正解なんだろうけど、あいにくときり良く終わらせたい。それに休めと言われたけれど、夜のお茶の時間には持っていきたかった。
持って行って、それでまた落ち込むかもしれないけれど、もしかしたら気のせいで普通に受け入れてくれるかもしれない。何より今日は王様に一度も会っていないのだ。一目でも会いたかった。
「祭典だよ、バーチェスで毎年やってるんだ。国主催だから結構大きくてね。まだ少し先だけど、白城を開放して、外から有名な劇団とか吟遊詩人とか招いて国民皆で楽しむんだよ。今のは、今年もその日が迫ってきたよっていうお知らせだね」
「へえ……すごいのね」
ルバルドには祭典なんてなかったし、劇団なんか見たこともない。吟遊詩人はごくたまに流れ着くが、それでも私が見たことあるのは一回くらいだ。改めて国の大きさの違いに圧倒される。
「国主催なら、ハイネや王様も何かやるの?」
「僕は……。王様が人前に出たがらないからね」
「そうなの……ハイネは可愛いから、きっと人前に出たら大騒ぎになるわね」
女の子と間違われて男たちに声をかけられるかもしれない。想像すると犯罪臭しかしなかったけれどふふ、っとつい笑ってしまった。
「……僕はもう行くよ。ランチ持ってくるまでベッドから出ちゃ駄目だよ」
「ふふ、はぁい。ハイネお兄ちゃん」
冗談で笑うと、ハイネはまた口角だけあげる笑顔を作って頭をくしゃと撫で出て行った。その仕草は本当に兄さんに似ているななんてぼんやり思いながら、気づけばうとうとして、ほどなくして眠りに落ちた。
足は一日とかからずに回復した。ハイネの言っていた寝ている間の治癒力とやらは案外本当なのかもしれない。
ランチあと少しの惰眠を取ってからはすこぶる調子も良かったので、今からでも少し掃除を進めておこうかと思い部屋を出たのだけれど……、
「しまった……」
自室のある階は完璧に把握したと思っていたが、一階上るだけでこんなに複雑な部屋割りになっているとは思わなかった。
「うう……同じつくりなら余裕って思ってたのに……今からでも掃除できる小さい部屋を探そう」
ちょうど今日からは上の階をやろうと思っていたのだ。本当は順序よく端からやっていくのが正解なんだろうけど、あいにくときり良く終わらせたい。それに休めと言われたけれど、夜のお茶の時間には持っていきたかった。
持って行って、それでまた落ち込むかもしれないけれど、もしかしたら気のせいで普通に受け入れてくれるかもしれない。何より今日は王様に一度も会っていないのだ。一目でも会いたかった。