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偽りの身の上〜身代わりの姫君〜
第4章 孤独な牢獄
王様は背を向けたまま手を止めて私の答えに沈黙し、何か考えるようにじっとしていた。
その間に私は高鳴る心臓をおさえ、履いていたもう片方の靴を脱いで腰に巻いたエプロンのリボンをしゅるりと外す。シャツワンピースのボタンも外していって、ある程度開いたらそれを肩から外してしまうとすとんと落として、私は下着だけの姿になった。それもすぐ足元に転がしてしまうと、私は生まれたままの姿になった。
薄暗く、王様のにおいが充満した部屋で裸になると、感じたことのない開放感と緊張感に包まれる。
「王様」
「なん、!」
振り返る、その眼が見開かれた。
薄明かりの中で私の身体がぼんやりと浮かぶ。それが、彼にはどう見えるだろうか。
「み、あ」
「抱いてください、王様」
一歩踏み出すと、毛足の長い絨毯が素足を包み込んだ。
王様はすぐに視線をそらす。だから歩みを進める。
「抱いてください。だって、王様は、私をお金で買ったじゃないですか。お姫様じゃないとしてもお慰みくらいは出来ます」
「……ミア」
最後にはもう、握りこぶしひとつ分くらいの距離になった。
未だ直視しない王様の手を掴んで、大きな手を私の小さな乳房に自ら触れさせる。
「っ」
ツンと勃った乳首が、緊張と期待で鼓動を速め上下する乳房が、全て彼の乾燥した手のひらに包まれる。
揉んで、つねって、叩いてもいい。
王様に触れられただけで、股の間からは太腿につたうのを感じるほどの蜜が溢れ出す。それさえ見てほしかった。
けれど彼の手はピクリとも動かない。
「……駄目だ」
絞り出す声に、カッとする。
「なんで! ……なんで……」
言いながら自分でもわからなかった。怒ってるのか、悔しいのか、悲しいのか。複雑で一言で言い表せない感情が一気に押し寄せて唇を噛む。
「……っ、……すまない」
王様は何かを言いかけて口を押さえ、私の手からするりと抜けて部屋を出て行ってしまった。