この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
陽炎ーもうひとつの物語ー
第1章 一人
餓鬼の頃から大将気取りで。
訳なく虐められたりする奴は助けずに居られなかった。

だが、大人になんて、何時なったのかは理解らねぇ。

初めて女を抱いた時か?
初めて酒を美味いと感じた時か?
初めて人を殺した時か?

もしかしたら俺は、ずっと餓鬼のままだったのかもしれねぇ。

十八になる頃には、夜盗して飯を食ってた。

別に、てめぇの口養うだけなんだから、普通に働いたって良かった筈だ。

だがそうしなかったのは。

その数年前、洪水と地震、浅間山の噴火と、デカい災害が立て続けに起き、幕府の政策も追いつかず。

予想されたことではあったが、飢饉とそれによる不景気。
誰も彼も食う事に手一杯。
町からちょっと離れりゃ飢えて死んだ骸がゴロゴロ転がってて。
その骨と皮だけになっちまった死体を食うヤツまで出る始末。

金の価値なんかあって無きが如し。

治安も悪くなり、それに乗じたってのもある。

人がそんな暮らししてる一方で、着飾って贅沢三昧して、庶民の暮らしなんか見もしねぇお上に反発したのもある。

一人で世直しが出来るなんて、思っちゃいねぇ。

ただ、汗水垂らして必死に働いたって食うや食わずの生活しかできねぇのに、税だの何だのと搾取されるのが気に入らねぇ。

取りやすい、一番弱いとこから絞り上げ、その一方で全く腹痛めずに贅沢してる奴がいる。
そんな仕組みが、我慢ならなかった。

そんなん、訳なくてめぇより弱い奴虐めてる餓鬼どもとひとつも変わらねぇじゃねぇか。

だから。

そんな奴らのトコからちょいと掠めたところで、誰も困りゃしねぇだろう。そう思った。

そうして、俺は夜盗になった。

貧乏人の日銭を掠めた事は、唯の一度もねぇ。




/42ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ