この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
陽炎ーもうひとつの物語ー
第2章 二人
二十歳の時だった。

金に汚ねぇ豪商の屋敷に忍び込み、いつものようにちょいと掠めて帰る途中。

俺は地下の小窓から抜けることにしていた。
その地下で、一人の餓鬼を拾った。

暦の上ではもう冬で。
昼間は暑い日もあったが、朝晩は寒気が地から這い登る。
ましてや地下なんて、足を踏み入れだけで震える程だった。

そんな中にあって。
そいつは素っ裸で、ぼんやりと座っていた。目の焦点もあってねぇ。

明らかに普通じゃなかった。

「お前、なんで裸なんだ?着るもんねぇのか?夜はひえるぜ?」

その餓鬼は、座敷牢みたいな檻の中に居た。

俺の声に反応し、

「え?あぁ、着るものか…あるよ…」

と呟き、行李の中から着物を引っ張り出す。
真っ赤な女物の襦袢。それと、着物も女物。刺繍や染めの感じからして、上物ではあるんだろうが、どれも薄汚れて、見窄らしかった。

何より、男なのにそんな着物しか与えられていない、そして座敷牢に囚われている。その事が、その餓鬼の身の上を如実に語っていた。

あの狸ジジィの慰みモンなんだろう。
変態が!

男が男を抱く。
それ自体は別にどうとも思わねぇ。
そんな奴は珍しくもねぇし、
人の性癖に口出す気もねぇ。

けど。

人を人とも思わずに慰みモンにするような輩には反吐が出る。

抱きたいなら抱きゃあいいが、それならそれでもっと扱いってもんがあるだろう?

弱者の気持が解らねぇ奴ってのは。
てめぇが一度もその立場に堕ちた事がねぇ、堕ち得る可能性すら考えた事もねぇ奴だ。

そしてそいつが高みの見物してられンのは。そいつの功績でもなんでもなく、ただ、強者の環境に生まれたってだけだ。ただ、運が良かっただけなんだ。

そんな事も解らず、人を踏み付ける奴を、俺は許せねぇ。

「お前、こっから出たいか?」

そう聞いてみた。

こいつがてめぇの意思でここに残りたいと思う、ジジィに抱かれる事に悦びを感じる、その可能性も捨て切れなかったからだ。

「俺には時間がねぇ。お前がこのままココに居たいってんなら、俺は行く。だが、出てぇってんなら今すぐ出してやる。どうするかはお前が決めろ。」

その餓鬼は暫く考え。

「出たい」

と呟いた。
俺は、ちと待ってろ、と声をかけ、懐から鍵破りの道具を出した。



/42ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ