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陽炎ーもうひとつの物語ー
第7章 独り
時間がどのくらい過ぎたのかが、よくわからねぇ。

一瞬の気もするし、何日も経っている気もする。

赤猫は、ずうっと俺の手を握っていた。


三人も俺の周りに戻って来た。

兵衛は、むっつりした顔で。

鷺は、泣きそうな顔で。

八尋は、真っ赤に泣きはらした目で…

でも、それも、徐々に、白い光に取って代わられ、段々と何も見えなくなっていった。

息の音が、ヒュー、ヒュー、とやたら大きく聞こえる。

真夏だってぇのに、震える程寒かった。

赤猫を呼ぶ。

「私はここだよ」

赤猫はそっと頰に触れた。

「、か…ね、こ…そこに、いるのか…?もう、目が…見えねぇ…」

「市九郎!」

赤猫はぎゅっと抱き付いて来た。

「…サチ…」

初めて呼んだ元の名。

「…や、や…産ませて、やれねぇ、で…すまねぇ…」

そこで、俺の意識が途切れた…

これで、終わりか…

終わっちまったのかぁ…

アイツらの筋道、ちゃんと立ててやりたかったのになぁ…

サチ。

サチ。

サチ。

幸せに
してやりたかった。

せめて、好きだ、って言ってやりゃよかったなぁ…

全く

最後まで、半端な男だったな…
俺は。


ー了ー

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