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第5章 赤猫

俺は、計画以外での盗み、拐かし、殺生を固く禁じていた。
ましてや欲を吐くのに女を襲うなンて言語道断だった。
女抱きたきゃ金払って玄人んトコに行け！

「こんなトコで…盛りのついた野良犬だな、全くよ。」

呆れてそれしか言えなかった。

三下共が動かねぇから股と鳩尾を蹴り上げて女の上から退かした。

女は腰が抜けたようで、逃げなかった。

「お前ら、掟を知らねェワケじゃねぇだろうが！
勝手に手ェ付けてんじゃねぇぞ！

せいぜいアジトに持ち帰る前に楽しんじまおうって魂胆だったんだろうけどよ、浅えんだよ、考えが！
こんな、アジトの目と鼻の先で騒ぎ起こして、人にバレたらどうするつもりだ⁉︎
騒ぎたきゃア組抜けて外で勝手にやりやがれ！」

どやしてもまだ文句がある様で、何やらぶちぶち垂れやがる。

「こ、この女は俺らの獲物だ、お頭には関係ねぇや」

俺は片眉を吊り上げ、ほぅ？と首を捻った。

「ヤソジ、てめぇはよ、何時から俺に口答え出来るほど偉くなった、あぁ⁉︎」

そう言ってヤソジの髷を掴み、

「ヒトだろうがモノだろうが、獲物は一旦俺んトコに集めんのが掟だ!
配分は俺が決める。
お前ら三下の出る幕じゃねぇわかったか‼︎」

「わかったらとっとと去ね！」

と一喝して退散させた。