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陽炎ーもうひとつの物語ー
第5章 赤猫
女はまだそのままの格好でいる。
俺は覆面の中身が気になったが、ふと、黙ってたらいつまでそうしてンだろう、と思い、その場に座り、煙管をふかした。

が、女はいつまで経っても動かねぇ。
いい加減痺れが切れ、

「いつまでンな格好してやがる」

と言ったら、女は我に返ったように、着物の合わせをかき寄せた。

「そっちじゃねぇよ。
んなガラ骨みてぇな身体隠してどうしようってんだ。
覆面くらい取れって言ったんだよ。」


そう言うと、覆面に手を掛け、一気に引き剥がす。

覆面の下は、火傷の痕が残る顔だった。

「なかなかのツラ構えじゃねえか。」
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