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エンブレム──奴隷契約編
第9章 悲壮
「私もう……どうしていいかわからないんです……うっ、うっ」
麻美は泣きながら昨日圭介に言われた事を話した。
圭介のために身を犠牲にしているのに、圭介は労りの言葉すらかけてくれない。
これほど尽くしているのに───
こんなに頑張っているのに───
麻美は一ヶ月の間に溜めたストレスを瞬時に爆発させた。
その不満と怒りの矛先は田島にではなく、全て圭介に向けられていた。
それほど昨日の圭介の態度が冷たくて悲しかった。
しかし、田島はそんな麻美の姿を見ても可哀想などとは微塵も思わなかった。
それどころか沸々と怒りが込み上げていた。
もちろん、麻美に対してだ。
「くだらない話だ。そんなくだらん話で俺の貴重な時間を無駄にした罪は重いぞ」