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捨て犬
第16章 もう言うなっ
鍵…
エミはドアに
鍵をかけてなかった
エミは
鍵を持たずに
出てったのかもしれない
そう思って
俺は
鍵をかけずに
キーをスエットのポケットにしまった
ダウンに袖を通しながら
俺は足早に
階段の角を曲がる
とにかく
探さなきゃ
どこか
遠くに行ってしまう前に
俺の
知らない所に
行ってしまう前に…
あっ…
階段を
駆け下りようとした
その時
俺は
階段の一番下で
膝をかかえて
うずくまる
エミを見つけたんだ
エミ…
何やってんだよ
お前
カコン
カコン
カコン・・・
俺は
ゆっくりと階段を下りて
静かに
エミの隣に腰かけた
顔を見なくても
分かってたから
エミが
泣いてるってこと
エミは
階段の上からでも
分かるくらい
泣いていたんだ
ぶるぶると
身体を震わせながら