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掌の官能小説
第15章 となりののりこさん
夜になると玄関チャイムが鳴った。
マンションの入り口からではなく、玄関からだ。
僕は、誰だろう…と思いインターホンのカメラを覗くと、昼間引っ越し挨拶に来た隣の旦那だった。

「は…はい。何か。」

「突然に申し訳ない。もしかして画家の…所ヒトシさんでは?」

「あ…は…はい。僕をご存知でしたか?」

「ああ、やっぱり。何度か絵画展にお邪魔させて貰っていまして…」

「そ…そうなんですか。知らないでいて、失礼しました。」

「いや、それは構わないんだが…あ。頼みがあって。」

「な…なんでしょうか…」

「私の…妻を…描いて貰いたいのだが…」

「奥さんを?」

「所さんの絵が好きで…妻を描いていただけたら…と。あ、ちゃんと料金は払いますから。どうでしょうか。」

僕は今、半分スランプで描く意欲が無くなっていたのだった。

「裸体しか描かないですけど…奥さんは…大丈夫なんですか?」

「ああ、妻は少し恥ずかしがっていますが、描いて欲しいと…」

「そ…そうですか…」
そろそろ収入になる事をしなくてはいけないと思っていたので、僕は引き受ける事にしたのだ。

あのエロチックな身体を描くのか…
僕は少しだけ気分が上がっていた。

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