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掌の官能小説
第17章 いつも観てるよ
朝、パソコンからの音で目覚めた。

昨夜は彼女が寝入ってしまうまでずっと画面を見ていて、いつの間にか自分も眠ってしまっていたようだ。

「あ〜、どうしよう…急がないと…」
そんな声と共に画面が暗くなった。

画面は暗いが音声は聞こえていた。
鍵の音がし、ドアを閉める音がした。

「あ…仕事か…」

僕は彼女のパソコンデーターを元に彼女のSNSや会員登録されているサイトを辿っていた。

「ホント、不用心だよな。」
こんな犯罪紛いの事をしている自分に呆れながらもパソコンで分かる彼女を追った。


彼女のパソコンからの画像が映し出された。
よく見るとあのコーヒーショップだ。
チェーン店で各地に点在している店だが、近所の店に間違いはなかった。

「ああ、もうこんな時間か…」
時計を確認すると夜7時になるところだった。
一日中彼女を追っていたことになる…。

僕はサッと着替えイタリア製の革靴を履きコーヒーショップに早足で向かっていた。

画像からの背景からすると、二階の窓際のソファー席だ。
コーヒーを受け取ると僕は二階に向かった。

二階の席は満席だったが、彼女と同席の向かいは空いていたが、彼女はパソコンに目をやり周りの混雑には気付いていないようだった。

気付いてないのか?気づかないふりか?

僕は、彼女の前に立つと
「すみません。満席なのでここ、いいですか?」

彼女は僕の方を見、僕だと気づくと無表情な顔が緩んだ。

「あ…ど…どうぞ。先日はありがとうございました。」
彼女は立ち上がり僕に礼を言った。

なんだ、常識はあるんだな。

「いや、役に立てて良かった。あれから調子は?」

「調子はいいです。資料も無事に出来て…助かりました。」

「出来るって分かっていたから、直してあげたんですよ。」

「え?」

「僕はその人の過去とか近い未来は見えるんです。」

「そ…そうなんですか?」

僕は彼女がスピリチュアルな世界を信じている事を知っていた。

「昨日、缶ビールを飲みましたよね?銘柄は…ですよね。」

「まぁ、凄い!」

僕は彼女の顔をマジマジと見つめ
「冷たいビールを胸に当ててる姿が見えます…」

「え?そ…そんな?事まで?」
彼女の顔は赤くなり困惑していた。






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