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掌の官能小説
第19章 今日もあなたを待っています
周りの目が気になるので、今日子にアパートに来るように言った。彼女は頷くと僕の後ろからベビーカーを引きながら歩いてきた。

ベビーカーを玄関に入れ、赤ん坊を下ろし抱いた。
まだ歩けなさそうな小さな子だった。

「元気そうで良かった。」
僕は心からそう思った。事故や事件に巻き込まれたりしてないかとか急病になってしまったのかとかだいぶ心配したのだ。

「ごめんなさい。私…結婚していたの。」

「え?」

「結婚していたの。」

「そ…そうな…の?」
彼女は頷いた。

僕はパニックだった。
え?え?なんで?
次の言葉が出てこなかった。

「結婚していたけど、ずっとあなたが気になっていて…で…雨の日にあんな関係になって…あ…嫌じゃなかったの。凄くあなたに惹かれでしまって…。結婚してる事なんて忘れてあなたに抱かれていたかったの。幸せだったの。とっても好きになっていて…でも言い出せなくて…」
彼女は泣きだしていた。
「好きで、一緒にいたくて…あなたがプロポーズしてくれて…嬉しくて…でも結婚してるし…もうどうしたらいいのか分からなくって。まずは離婚しようと思って、夫に話しをしても、取り合って貰えず…家に閉じ込められていて…仕事も辞めさせられて…あなたにずっと会いたくて…もし、あなたが好きで別れたいと知られたらあなたに迷惑がかかるし…私、どうしたらいいのか分からなくて。でも会いたくて…一度近くまで来た時、あなたが女性と居て…私の事は忘れたのかと思って。でも会いたくて…赤ちゃん出来てて気付いた時はもう5カ月で…あなたの子だから産みたくて…」
話しの順番がめちゃくちゃだったが、泣きじゃくりながら彼女は想いを言った。

「ごめん。一人で我慢させて。ごめん。」
僕は彼女を抱き締めた。
「会いたかった。。。会いたかったの。」
僕の胸の中で彼女は泣きじゃくっていた。
「僕も会いたかった。会いたかったよ。」
彼女を抱き締めると、あの日の彼女の匂いがした。





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