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掌の官能小説
第21章 お隣さん
ベランダに出ると、スニーカーは濡れていた。

「せっかく洗ったのに…」
スニーカーを取ると

「開けて。お願いします。次はちゃんと…しますから…」
隣のベランダから声がした。

僕はそっと隣のベランダとの境の防災壁の隙間から覗くと
真っ裸で部屋に向かって喋っている彼女が見えた。

夏だと言え、夕立が降り気温が急に下がり半袖では肌寒い感じだったが、彼女は裸。

「居ないの?」
彼女は鳴き声になっていた。

関わり合いたくないけど、知らないふりをしても気持ちが落ち着かない。

「どうしたの?」
僕は防災壁越しに声を掛けた。

「え?あ…鍵が閉まってしまい、ベランダに閉じこもってしまって……」
と彼女は身体を丸めて言った。

「さっき男性が出て行ったけど…」

「え?出て?そう…」

「大丈夫?」

「大丈夫だけど…ちょ…ちょっと寒い…かも。」
顔はよく見えないが彼女の声は震えていた。

「ここ、破るから…待って…」

僕は防災壁を肘で割った。
流石防災壁、簡単に割れた。


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