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掌の官能小説
第21章 お隣さん
防災壁を壊し、彼女のベランダに腕を伸ばすと彼女の手が僕の手を掴んだ。
冷たい冷たい手で握りしめた。

そのまま彼女の手を引っ張ると僕の胸に彼女は飛び込んできた。

あまり濡れてはいなかったが体温はかなり引くなっていた。

「怖かった…ありがとう。」
彼女はガタガタと震えている。

そのまま僕は部屋に彼女を入れ、風呂に湯を入れた。
バスタオルとタオルケットを彼女に渡したが彼女は寒さで動けないようだった。
インスタントのカップスープを渡したが彼女は飲まなかった。

「救急車を呼ぼうか?」
反応の少ない彼女に言うと首を横に振りながら
「それだけは…しないで…部屋に戻りますから…」
そう言い立ち上がろうとしたが、力が出ないようで立ち上がれなかった。

僕は彼女を支えたが冷たい身体だった。

「低体温だから…温まらないと…まず風呂に…」
彼女を立ち上がらせ支えながらお風呂に連れて行き、タオルを取りシャワーで湯をかけた。

肌は白かったが、今は血の気のない肌の色をしていた。
このまま一人で湯船にいれたら、溺れてしまいそうで僕は一緒に湯船に入ったのだ。

彼女の表情は堅かった。

「体温をまず上げないと…」
彼女の肩に湯船の湯をかけながら言うと、彼女は僕にしがみついた。
そして、震えながら声を殺して泣いていた。







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