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掌の官能小説
第22章 今日も嫁に
気付くと私は知らない場所にいた。

確か…峠を越え、紅葉のトンネルを走り抜け…
ウサギ?タヌキ?
小動物が目の前に走り、少し避けると落ち葉で滑り…
対向車が…

事故ったのか…

私は起き上がろうとしたが、足に力が入らなかった。

折れたか…

命はあって良かった。

息子に叱られるだろうな…
そんな事を思いながら再び眠りについていた。


「お義父さん!」
息子の嫁がハンカチを握り涙目で私を見ていた。
「オヤジっ!」
息子も嬉しそうな顔をした。

「あ、ああ…悪かったな。」

「良かった。良かったわ。」

「だから、バイクなんて!ま、もう無理だから…」

「良一さん!なんて事を。」

「いや、いいんだよ。ちゃんと言わないと。」

「でも、こんな言い方…」

「オヤジ、下半身不随になったんだよ。」

「良一さん!」

「え?不随?動かない?」

「そうだ、一生寝たきりだよ。」

「良一さん!そんな事を!お医者様はまだ分からないって。」

「この歳で、無理だよ、もう。」

「お義父さん、リハビリをしたらよくなるかも…って。」
嫁は私を気遣ってくれている。
息子は…かなり怒っていた。

嫁は感覚の無い私の脚を布団の上からずっと摩ってくれていた。

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