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掌の官能小説
第23章 峠の宿屋
山を越えた頃、急に雨が降り出した。
雨具も持たずに来てしまい後悔した。

雨宿りしようも、雨宿りの場所も見当たらない…

ゆっくりとバイクを走らせると、『宿屋 ことり この先200m』
小さな見え難い古い木の看板を見つけた。

営業しているかは分からない。
でも、この大雨の中バイクで峠を走るのも怖かったので看板の指す方向に向かった。


道は舗装されていなく、林の中をゆっくりと走ると、
小さな侘びた家が見えた。

バイクを降り、玄関先で
「すいませーん。すいませーん。」
何度か叫ぶと、年老いた女性が出てきた。

「まぁ、お兄さん、ずぶ濡れで…」

「今日、宿、空いてますか?」

「ええ、空いてはいますけど…今からだと食事が…大したものを出せませんけど。」

食欲はない。
酒さえあれば全然構わなかった。

バイクは物置に置くように言われ、物置に置き玄関に向かうと
バスタオルを渡された。

「風邪引くと悪いから…お風呂入って来なさい。」
そして、ある程度拭き終わるとタオルと浴衣を渡された。

「部屋は2階の春の間で…」
そう言うと、風呂場まで案内してくれた。




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